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技能実習生の最大の送り出し国ベトナム

近年、外国人技能実習生の数が増えていますが、中でも特に多いのはベトナム人だということをご存知でしょうか?

 

このページでは、外国人技能実習生の数の推移や、なぜ今ベトナム人実習生が増えているのか?ということについて分かりやすく解説していきます。

 

ぜひ、参考にしてみてください。

外国人技能実習生の数は約27万人

はじめに、どのくらいの実習生が来日しているのか把握しておきましょう。

 

厚生労働省の調査によると、平成29年度末の外国人技能実習生の数は274,233人となっています。

 

と言われてもあまりピンっと来ないと思うので、平成19年~29年までの推移をグラフで見ていきましょう。

 

グラフ

参考元:厚生労働省│技能実習制度の現状

 

グラフを見ると分かるとおり、技能実習生の数は10年間で倍以上になっていますね。

 

また、「技能実習2号」へ移行する方も緩やかですが増えています。

覚えておきたい!

技能実習2号とは、技能実習1号の期間中に習得した技術をさらに習熟させるために付与される在留資格です。ここでは詳細を省きますが、技能実習1号は「基礎」・技能実習2号は「応用」と覚えておけばいいでしょう。

では、それぞれの人数も詳しく見ていきましょう。

 

下記をご覧ください。

 

技能実習生数

研修生数

技能実習2号への移行者数

平成19年

89,033

88,086

53,999

平成20年

104,990

86,826

62,520

平成21年

109,793

65,209

62,207

平成22年

150,088

9,343

49,166

平成23年

143,308

3,388

45,013

平成24年

151,477

1,804

48,752

平成25年

155,206

1,501

48,792

平成26年

167,626

1,427

49,536

平成27年

192,655

1,521

61,809

平成28年

228,588

1,379

75,089

平成29年

274,233

1,460

86,583

 

このように、「技能実習生数」「技能実習2号への移行者数」ともに順調に数を伸ばしています。※ちなみに、「研修生数」が減っているのは、平成22年に行われた制度改正で「研修制度」から「技能実習制度」に変わったからです。研修制度は今も続いていますが、実務を伴わない活動に限定されます。

 

さて、これだけ増えている外国人実習生ですが、どの国の方が来日しているのでしょうか?さっそく見ていきましょう。

ベトナム人実習生が約半数

厚生労働省によると、外国人技能実習生の国籍別構成比は以下のとおりとなっています。

 

グラフ

 

参考元:厚生労働省│技能実習制度の現状(2018)

 

ランキング別にすると…

1位:ベトナム(45.1%)
2位:中国(28.3%)
3位:フィリピン(10.1%)
4位:インドネシア(8%)
5位:タイ(3.1%)

と、ベトナムが1位!ほぼ半数がベトナム人実習生なんですね。

 

正直、最近まで筆者は“中国人かな…?”と思っていたので、この結果には驚きました。

 

とはいえ、これはあくまで「技能実習生」の数です。他の在留資格を持った人も含むと圧倒的に中国人が多いです。

ベトナム人技能実習生はどの県に多い?

さて、ベトナム人技能実習生が多いということは分かりましたが、47都道府県の中ではどの県に多いのでしょうか?

 

先ほどと同じくランキングにすると…

1位:愛知県(5,780人)
2位:千葉県(3,173人)
3位:大阪府(3,003人)
4位:埼玉県(2,922人)
5位:広島県(2,717人)

このような結果になりました。

 

技能実習制度で認められている職種は製造業が多いので、やはり製造業が盛んな愛知県に一番多く人が集まっていますね!ちなみに東京都は2,138人なので、1位の愛知県の2分の1以下となっています。

なぜ今ベトナム人技能実習生が増えているのか?

なぜ今、日本ではベトナム人技能実習生が増えているのでしょうか?

 

大きな理由としては、以下の2つが挙げられます。

● 来日して働くまでの期間が短い

● 日本に親しみのある人が多いこと

では、一つずつご説明していきます。

技能実習生として働けるまでの期間が短い

一つ目の理由は、日本で技能実習生として働くまでの期間が短いということです。

 

例えば、韓国の場合「就労センターに登録→手続き→実際に働く」というプロセスで半年~2年ほどかかると言われています。一方日本の場合、半年もあれば技能実習生として来日して働けるのです。すぐに働きたいベトナム人にとっては日本に来るというのは非常に大きなメリットですよね。

日本に親しみのある人が多い

二つ目の理由は、日本に親しみのあるベトナム人が多いということです。

 

実際、トヨタ自動車やイオン、エースコックなどベトナムに進出している日本企業は多く、生活のあらゆる面で日本製品に触れる機会があるため、日本に良いイメージを持っているベトナム人は多いようです。

 

余談ですが、筆者のベトナム人の友人も日本に対してポジティブな印象を持っており、日本について質問攻めにされた経験があります。

ただし、失踪する人も増えている

ベトナム人技能実習生の数が増えているということはお分かりいただけたかと思いますが、技能実習制度にはまだまだ多くの問題が残されています。事実、日本の技能実習制度は「現代の奴隷制度」とまで言われており、失踪してしまう実習生も残念ながら増えています。

 

以下のグラフは、ベトナム人技能実習生失踪者数の推移です。

 

グラフ

 

2012年で496人だったのが、2017年で3,751人まで急増しています。

 

母数を考慮すると、2012年は全体の約2.9%・2017年は全体の3%に達しています。そして失踪の理由として一番多く挙げられるのは、「思ったよりお金を稼げない」ということ。

 

ベトナム人実習生は、日本で技能実習生として働くためにブローカーに高い手数料を支払っていることがあり、その額は平均で50万円~70万円。ベトナム人の平均年収は約40万円なので、この金額がどれだけ高額か分かるでしょう。これが非常に問題視されています。

 

この借金を返した上で、母国にお金を持って帰りたいと願う技能実習生が目の当たりにするのは「低賃金×重労働」という現実です。

 

話を戻しますが、“0.1%の増加ならそんなに変わらないじゃないか!”と思う方もいるかもしれませんね。しかし、失踪者の割合が減らないばかりかむしろ増えているということは、外国人受け入れの体制が全く改善されていないということなのです。

 

正直、これだけ少子高齢化が進んでいる日本は、外国人労働者の力なしには成り立ちません。にも関わらず、外国人技能実習生を単なる「労働力」としか見ていない企業があるのが現状なのです。

まとめ

ネガティブな情報を最後に持って来てしまいましたが、「ベトナム人実習生が増えている=日本は人気」と安易に考えず、技能実習制度のデメリットにも目を向けるべきだと思いお伝えしました。

 

これから、どんどん外国人労働者の力が必要になる日本ですが、受け入れ体制を整えなければより条件の良い国(韓国、台湾など)に先を越されてしまいます。

 

増加するベトナム人実習生やその他の国から来る技能実習生が意欲的に働けるよう、受け入れ側である日本の技能実習制度を早急に改善すべきだと思います。

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